今まで読んだ小説の感想のまとめ。
誰かにおすすめしたい本ってよりは、今まで読んだ本の内容のログって感じです。
リバース 湊かなえ
後気味悪い結末を迎える作品が多い事で知られている湊かなえ氏の作品。
突如、主人公に届いた「人殺しだ」と言う手紙を届いた事をきっかけに、昔起きた事故の真相を巡る事になるのですが、今作も例に紛れず人間模様の描き方が素晴らしかったです。
そして結末は良い方向に向かうと思ったら…、予想以上の後気味の悪さが待ってました。
どこよりも遠い場所にいる君へ 阿部暁子
隠岐の島をモチーフにした島で繰り広げられる青春ストーリー。入り江で倒れていた少女が謎の台詞で「1974年」と呟く場面から物語が始まる。とある理由で島にやってきた和希や記憶喪失の七緒の二人が織り成すボーイ・ミーツ・ガールは夏の爽やかさを感じる反面、登場人物たちは何かしら後ろめたさも持っていてそんな人間味を感じさせる部分が本作の魅力でした。
そして、読んだ直後にまさかの映画化決定。びっくりした。
かがみの孤城 辻村深月
学校での居場所に悩み、家に閉じこもっていた中学生のこころ。ある日、部屋の鏡が光り出し、吸い込まれた先の城で似た境遇の6人と出会う。願いを叶える「鍵」を探す中で、彼らが抱える秘密が明かされていきます。まず、元不登校だった自分としては、不登校の描写の解像度が高すぎて、心が痛くなるのを感じました。そして、不登校って言ってもお互いに境遇は異なるので、衝突する事もあるし、中学生特有の繊細な感情を巧みに描いていたと思います。
下巻からは物語の構造が明らかになっていき、狼の正体が明かされていく過程は特に圧巻でした。
青い壺 有吉佐和子
無名の陶芸家のつくった「青磁の壺」が、様々な場所を巡って十数年の時を経て、再び作者の元へ戻って来ると言うお話。
壺を持った人物によって美的価値観やドラマがここまで変化するのか、と言うのが印象的でした。
同作者の「紀ノ川」も読んだことがあるのですが、この方の書く作品と言うのは複数の登場人物をリレー形式で描くと言う展開が多いですね。(と、2作だけで評価するのもあれかな)
伊豆の踊子 川端康成
伊豆の踊子は川端氏による初期の作品で、旅人と踊子の身分の異なった恋愛模様が描かれています。話こそ短いですが、この頃から川端氏のセンスを感じさせるものがありました。
今回は短編集と言う形で他の話の3話収録されています。
京都の平熱 鷲田 清一
京都生まれの哲学者が京都市バス206号線に乗って、「平熱の京都」を描き出す。
感じたのは京都と言う都市ほど、多角的な顔を見せる都市は他にないと言う事だ。街に定着している「奇人」たち、京都の歴史と共に歩んできた「食文化」、観光ガイドに載らないような「路地」、それは京都の日常そのもので、インバウンドで溢れかえっている昨今ではその日常に近づく事はより困難になっているのではと思った。
岬/枯木灘 中上健次
和歌山県新宮市を舞台にした小説。二部構成。
この話のテーマは血筋。逃れられない血筋に悩まされながらも、結局はその血筋に翻弄されてしまうと言う重めの話だった。
情景描写がとても美しく、新宮と言う山,海が密接した都市の風景が自然と浮かんでくる。
潮騒 三島由紀夫
三重県の離島を舞台にした小説。三島氏の作品は比較的重めの作品が多いと聞くが、本作は夏の爽やかさが強調されており、陰湿なテイストは殆ど感じなかった。
むしろ、漁師を商いとする男たちの力強さを感じさせる、そんな話。季節感を基調とした作品と言う意味では川端氏の「雪国」の対となる作品かもしれない。
新書 世界現代史
アフター冷戦が終わりを迎えようとする昨今の情勢を記した本。
冷戦を終えた米国は世界のトップに君臨していた。しかし、同時多発テロ事件以降その綻びが見えはじめ、アラブの春などの影響によって10年代は米国一強の時代は終焉を迎えた。トランプの熱狂的支持者は、そうした米国の黄金時代を再び取り戻すと言う理念を抱えているのかもしれない。
ソ連崩壊後のロシアは、始めこそ米国との協調路線を模索していた。しかし混沌とした中東情勢や西欧の秩序の強要などが要因で、米露の協力路線は次第に決裂していく。そして2022年のウクライナ侵攻は後戻りできない場所までやってきたことを決定づけてしまった。
中国にとってアヘン戦争の敗北は、大国としての中国を終焉を知らせる出来事だった。アヘン戦争から第二次世界大戦が終戦するまでの期間の事を中国では「百年国恥」と呼ばれており、習近平は再び威厳のある中国を取り戻そうとしている。また百年国恥時代はまだ終わっておらず、台湾を統一する事こそが、「百年国恥」が終焉すると言う主張もある。
これらの国々の抱えている問題を俯瞰して感じたのが、大国ファシズムの時代に逆戻りしているのではないか?と言う事だ。中小国家は大国のルールに逆らう事は許されず、一方的なゲームを強要される。そんな時代に日本が生き残る方法とは何なのだろうか…?
人はなぜ戦争するのか フロイト
心理学者であるフロイト。第一次世界大戦の経過から見えたのは、人には無意識に攻撃本能を備えているのかもしれないと言う事だ。
結果的に第二次世界大戦が勃発してしまい、フロイトの予感は的中してしまったのか…。
朝鮮史
日本の隣国である韓国がどのような歴史を辿ってきたのか関心を抱いたため、読んでみた。
朝鮮は中国と日本の緩衝地帯であり、それは今も昔も変わらない。朝鮮半島では儒教が重要視されていた。近代化に遅れた朝鮮は結果的に大日本帝国の植民地となり、終戦後の朝鮮分割統治を経て、現在に至る。
台湾史
台湾有事は今に始まった問題ではない。
先住民、日本統治、中国による圧力、台湾にとっての民主主義化に至るプロセスは海峡を挟んだ位置にある中国との対立の歴史だった。
台湾の存続問題、これから先も問われる事になるだろう。

