神戸は面白い街だ。人口150万人の大都市でありながら、市街地の北方を向くと1000m級の山々が連なっており、南方を向くと大阪湾の海が広がる。その為、神戸人は南北の表現を使わず、山側海側と言う表現をよく使う。

神戸駅から山側へ30分ほど、坂道を昇って行くと祇園神社と言う場所に辿り着く。この神社は八坂神社ととてもゆかりの深い神社であり、姫路から京都へ神輿を運ぶ事になった際に、この場所で1泊した事が祇園と名付けられる由来となった。

この神社からは、神戸の市街地を見下ろせる。この風景を見ながら、平清盛は福原京の計画を練っていたとされる逸話が残っている。

神社のすぐ傍には湊川温泉と呼ばれる昭和感満載の温泉がある。27℃の源泉が湧いており、窓からは川のせせらぎも聞こえてきて、都会から歩いて数十分とは思えない秘湯感を味わえた。

つい先日、神戸市にて新しい国宝が認定された。
そんな国宝があるのは、呑吐ダムの道外れのひっそりとした場所。恐らく前情報を知ってないと、大半の人はスルーしてしまうかもしれない。

箱木家住宅は室町時代に建築された日本最古の民家。現存する民家の多くは江戸時代以降のものであり、室町時代の民家は非常に歴史的価値が高い。

箱木家住宅の特徴の1つ目が茅葺屋根。この当時は江戸時代のような複雑な構造ではなく、丸太と竹を組み合わせたシンプルな構造が主流だった。ただ茅葺には断熱効果があり、夏場でも涼しく感じやすい。実際、訪れたのは夏だったが、室内は気持ち涼しく感じた。

二つ目は柱。箱木家住宅には大黒柱が無く、不均等な大きさの柱が住宅を支えている。

そして箱木家住宅は今でこそこじんまりとした住居のように感じるが、室町時代における箱木家は一大権力者であった事から、室町時代の庶民の家はかなり質素な造りだった事が想像できる。

舞子駅は明石海峡大橋の真下にある駅であり、景観の良さから休日はイベントを開催する事も多く、比較的賑わう事の多い場所だ。

そんな明石海峡大橋の街でもある舞子だが、明石海峡大橋開通以前は別荘地として人気だった場所であり、近代建築が多く残っている。
まず最初に訪れたのは、孫文記念館。孫文は中国の革命家で革命運動の最中、約9年間日本に滞在していた。そんな孫文の足跡を辿る事で、近代日中関係を知る事ができたと思う。

また記念館は移情閣と呼ばれる建物で、木骨コンクリー造で築かれており、大正時代の特色が色濃く残っている。

次にやってきたのは、旧武藤山治邸。1907年に舞子海岸に建てたれた邸宅。ステンドグラスや緋色の絨毯など、明治期を偲ばせる装飾が施されているのが特徴的。

海を見渡す事ができる洋館と言うだけで絵になってしまう。この舞子海岸に別荘が多く建てられたのも頷ける。

最後に訪れたのは、旧木下家住宅主屋。舞子海岸から少し離れた公園にあるせいか、ちょっとした隠れ家的な場所かも。昭和16年に又野良助氏が私邸として築いた数寄屋造式の住居であり、和と洋が融合した建築が特徴的。

鮮やかな緑の庭園を眺めながら、一服する。3連休にも関わらず、この空間を独り占めできたのは最高の贅沢だったと思う。
